今朝の新聞に、フリーのカメラマンが労災認定されたという記事がありました。
つまり、個人事業主に対し労働者に支給される保険給付が認められたということです。
通勤中の交通事故で負傷した男性は、都内の広告写真関連の会社でフリーランスとして業務委託契約を結んで働いていたそうですが、実態として会社のシフト表で管理されていたなど労働者性があると思われる働き方だったそうです。
出版業界ではこのようにフリーランスでありながら、労働者と同様の実態で働く人が多いということです。
労働者性の判断基準はいくつかあります。
労働時間に裁量があるか、仕事に必要な道具などの費用はどちらが負担しているか、他の人に再委託するなど労働力の代替ができるかなど、複数の観点から総合的に判断されます。
フリーランスで働く人が増え、これらの人を行政が労働者と同様に保護しようという傾向が強くなってきています。
昔を振り返ってみると、今は当然になっている在宅勤務ですが、30年ほど前には労働者ではないと考えられていました。会社の指揮命令下にないと見られていたからです。
今のように携帯電話もインターネットも普及しておらず、当時の働き方としても少数派でしたから。
しかし、このような働き方で働く人たちが増えると法律は保護が必要だと考えを変えてきます。
成長が不安定な時代にあって、時間外労働の規制が厳しくなり、社会保険料もますます高額になってきています。
会社は、労働者としての労働力を確保するよりも、フリーランスの方が利用しやすくなっているのです。フリーランスは今後、ますます増えてくることでしょう。
現在、フリーランスへの労災保険の特別加入の適用拡大が行われてきていますし、今後、労働安全衛生法で定められた「死傷病報告」の届出義務の対象にしようという話が出てきています。
果たしてフリーランスをどこまで労働者と同様に見ていくべきでしょう。これからの課題です。