勾留中で、まだ罪状が明らかになっていない段階では、有罪を前提として対処すべきではありません。
勾留などによって出勤できない期間は「欠勤」あるいは本人の申し出により「年次有給休暇」として取り扱います。
起訴が決まり、しばらく勤務できない場合には、一般的に就業規則の定めに従って、「起訴休職」の取り扱いをします。
裁判の結果、有罪となった場合や、本人が罪を認めている場合は、懲戒処分を検討します。
なお、懲戒処分をおこなうには、就業規則に懲戒について定めていなければなりません。
しかしながら、有罪になった行為が時間外に会社とは無関係におこなわれているとどうでしょう。
労働時間外に何をするかは労働者の自由であり、私生活上の行為について、使用者が介入することはできません。
この観点から、私生活上の行動を理由として懲戒処分をおこなうことはできないのが原則です。
刑事事件を起こしたケースでも、解雇を無効とした判例がいくつもあります。
ただし、その行為が業務に影響を及ぼしたり、会社の信用を傷つけるなど、職場秩序を乱す場合には、解雇などの懲戒処分をおこなうことができると考えられています。
過去の判例では、「その行為の性質、状況のほか、会社の事業の性質、態様、規模、会社の経済界に占める地位、経営方針、その社員の会社における地位、職種など諸般の事情」から総合的に判断し、「その行為により会社の社会的評価に及ぼす悪影響が相当重大であると客観的に評価される場合」に限られるとしています(日本鋼管事件 S49.3.15最高裁)。