労働基準法では、「労働契約の不履行について違約金を定め、または損害賠償額を予定する契約をしてはならない」と定められています。これを「賠償予定の禁止」といいます。
ただし、これはあらかじめ金額を予定することを禁止しているのであって、実際に生じた損害について労働者に賠償を請求することは違法ではありません。
損害の額にかかわらず、「ミス1回○円」などの罰金ルールをつくることは、賠償金額を予定しておくことになり違法です。
一方で、「ミス1回○円」を、賠償予定ではなく、懲戒処分としての「減給」と考えることもできます。
ただしこの場合、就業規則に懲戒処分について規定しておく必要があります。
どのような行為が懲戒処分に該当するのかも定めておかなければなりません。
就業規則に定めていたとしても常識的に考えて重すぎる処分は無効と判断されます。
なお、減給は1つの事案について平均賃金1日分の2分の1、複数の事案がある場合は総額が1賃金支払期の賃金総額の10分の1を超えてはならないとされています。
こうしたルールにのっとっておこなう場合は、合法的に罰金ルールを実施できると考えられます。
ただし、仕事をおこなう上で日常的に発生する些細なミスすべてに対して、減給処分を定めることは現実的ではありません。
また、社員が罰金を恐れるあまり、ミスを隠して大きなトラブルに発展する危険もあるという点にも留意しておきましょう。