年俸制であっても残業代は支払わなければなりません。
ただし、一般的には、年俸の中に一定時間分の残業代を含めて支払います。次のすべてを満たす場合は、定額の残業代を年俸に含めて支払うことが認められます。
①労働契約として年俸の中に残業代が含まれていることが明確であること。
②所定労働時間に対する賃金と残業代が区別されていること。
③法定以上の残業代が支払われていること。
労働契約書に年俸を記載する際、「月△時間分の残業代○○円を含む」と明記したり、給与明細に「定額残業代(△時間分)」などと欄を設けると良いでしょう。
この場合でも、実際の残業時間により計算した残業代が、年俸の中に含めた残業代を上回る場合は、超過分を支払わなければなりません。
年俸の中に30時間分の残業代を含めて支払っていたものの、実際の残業時間が月30時間を超えていたため、労働基準監督署が是正勧告を行ったケースもあります。
なお、管理監督者など労働時間に関する規定を適用しない者は対象外となります(管理監督者でも深夜労働の割増賃金は支払わなければなりません)。