厚生労働省では毎年、1年間に発生した労働災害の人数等を発表しています。今回は、令和5年1月1日から12月31日までに発生した労働災害についてみていくことにしましょう。
全体の労働者数の7割近くを占める第三次産業を除くと、死亡者数、死傷者数ともに、建設業や製造業、陸上貨物運送事業の人数が多くなっています。やはりこれらの3つの業種は、危険を伴う仕事というイメージがありますよね。
次に、労働災害の種類についてみていきましょう。
死亡者数の上位を占める「墜落・転落」や「交通事故(道路)」、「はさまれ・巻き込まれ」は建設業や製造業、陸上貨物運送事業で多く発生しています。
死傷者数の上位を占める「転倒」や「動作の反動・無理な動作」は小売業や社会福祉施設でも多く発生しています。これらの2業種では50歳以上の女性の割合が他業種よりも大きいことが要因の一つとして考えられています。現に、「転倒」の男女別、年齢別の発生割合をみると、全体の発生件数の50%近くが50歳以上の女性、約25%が50歳以上の男性となっているのです。
我が国の人口減少が進む中で、特に人手不足の業種では労働者の高齢化は今後も進んでいくことが予想されます。全体の労働災害を減らしていくためには、高齢労働者の労働災害を減らすための職場環境づくりが今後ますます重要なテーマとなっていきそうですね。