配偶者の扶養の範囲内で働くパートタイマーなどは年収「106万円」あるいは「130万円」を超えると自分で社会保険料を支払う分、手取り収入が大きく減ってしまいます。
そのため、106万円・130万円の「年収の壁」を超えないように労働時間を調整する人も多く、これが人手不足に拍車をかけていると指摘されています。
そこで政府が打ち出したのが「年収の壁・支援強化パッケージ」です。
期間限定で行われる特例措置や助成金の支給など、次の4つの支援策が設けられています。
年収の壁・支援強化パッケージとは
1.キャリアアップ助成金「社会保険適用時処遇改善コース」を新設
パートタイマーなどが社会保険(厚生年金・健康保険)に加入するにあたって、手取り収入を減らさない取組を実施する企業に対し、労働者1人あたり最大50万円の助成金が支給されます。
2.特例措置「社会保険適用促進手当」
パートタイマー等の社会保険の加入にあたり、手取り収入を減らさないように企業が支給する手当を「社会保険適用促進手当」として支給する場合は、その分は社会保険料の算定対象とならない(手当が増えても社会保険料がその分上がることはない)という特例措置が設けられました。
3.事業主の証明による被扶養者認定の円滑化
繁忙期に残業やシフト増加などにより収入が一時的に増えたために年収が130万円以上になったとしても、勤務先の事業主がその旨を証明すれば引き続き扶養でいられる仕組みが設けられました。
4.配偶者手当への対応
「配偶者手当」を支給している企業において、その見直しが進むよう、配偶者手当の廃止・縮小をおこなった企業の事例や見直しの手順などをまとめた資料を公開しています。
中でも、注目を集めているキャリアアップ助成金「社会保険適用時処遇改善コース」について簡単にご紹介しましょう。
キャリアアップ助成金「社会保険適用時処遇改善コース」の概要
労働者が負担する社会保険料は現在、賃金の15%前後です。
これまで配偶者の扶養内で働いていたパートタイマー等が社会保険に加入することになった場合、手取りが約15%減ってしまいます。
これに対して、事業主が手取り収入を減らさないように次のような取り組みをおこなった場合に助成金が支給されるというものです。
- 社会保険適用促進手当を支給
- 賃上げによる基本給の増額
- 所定労働時間の延長
手当の支給や賃上げをおこなった場合の「(1)手当等支給メニュー」と、所定労働時間の延長をおこなった場合の「(2)労働時間延長メニュー」があります。
<キャリアアップ助成金「社会保険適用時処遇改善コース」>
1年目に(1)を受給した後、2年目に(2)を受給することも可能です。
たとえば年収106万円の人が社会保険に加入した場合、本人負担の保険料は年16万円程度となります。
これに対し、本人の手取り収入を減らさないよう、事業主が年16万円の手当を支給すると助成金を年20万円受給できるという仕組みです。
助成金は期間限定
キャリアアップ助成金「社会保険適用時処遇改善コース」は2023(令和5)年10月から始まっており、2025(令和7年)度末までにパートタイマー等を健康保険・厚生年金に加入させた場合に支給対象となります。
手当の支給等の取り組みを6ヵ月実施するごとに支給申請します。申請は2ヵ月以内におこなう必要があります。
事前に計画書の提出が必要
この助成金を受給するには、事前に「キャリアアップ計画書」を労働局に提出する必要があります。
ただし、急遽決まった助成金であるため、2024(令和6)年1月31日までに取り組みを開始する場合は、キャリアアップ計画書は2024年1月までに提出すればよいとされています。
参考:キャリアアップ助成金(社会保険適用時処遇改善コース)のご案内(パンフレット)
2024(令和6)年2月1日以降に取り組みを始める場合は、取り組みを開始する前日までに、キャリアアップ計画書を提出する必要があります。