通常、賞与を支給する場合は、評価期間と支給日が設定されています。
例えば、6月~11月の評価をもとに12月20日に賞与を支給するといったものです。
この場合、賞与の評価期間すべてを勤務したうえで、支給日前の12月15日に退職した労働者に賞与を支給しなければならないのか、という問題があります。
多くの会社では、支給日前に退職した社員には賞与を支払っていないようです。
その根拠となるのは、就業規則に「賞与は支給日に在籍している者に支給する」という記載があることです。
この支給日在籍要件については有効とした判決と、無効とした判決の両方がありますが、近年は概ね有効とされています(日本テレコム事件 H8.9.27、関西空港リムジン事件 H11.9.27など)。
無効、つまり賞与を支払うべきとされた例では、賞与の支給が本来の支給日よりも数ヵ月遅れたために支給されなかったもの、退職予定者に他の社員よりも大幅に減額して支払ったもの、整理解雇など会社が解雇日を設定できる場合に支給日前に解雇して賞与を支払わなかったもの、などがあります。