3月15日、外国人材の受け入れ制度を抜本的に見直す出入国管理法などの改正案を閣議決定し、国会に提出しました。改正案では、技能実習制度に代わる新たな制度として「育成就労制度」を創設するとしています。
改正法案が成立すれば、2027年にも育成就労制度がスタートする見込みです。
技能実習制度は、本来は開発途上国への技能移転を通じた国際貢献が目的ですが、実際には人手不足の産業において安価な労働力確保のために運用されている面があります。
パスポートを取り上げ、低賃金で長時間働かせるなど人権侵害ともいえる不適切な扱いが行われているケースもあると指摘されています。
こうした過酷な労働環境を理由に、失踪する技能実習生が増加していることも問題視されています。
今回の改正案では、技能実習制度を廃止し、外国人材の確保と育成を目的とした「育成就労制度」を創設するとしています。
技能実習制度と育成就労制度の主なちがいは次のとおりです。
・受入れ対象職種
技能実習制度は90職種165作業と幅広い
育成就労制度は特定技能と同じ12分野に限定される
特定技能制度とは、2019年に日本政府が導入した外国人労働者の受け入れ制度です。深刻な人手不足に対応するため、特定の産業分野において一定の専門性・技能を有し、即戦力となる外国人材を受け入れることを目的としています。
特定技能1号による外国人の受入れ分野は、介護、ビルクリーニング、素形材・産業機械・電気電子情報関連製造業、建設、造船・舶用工業、自動車整備、航空、宿泊、農業、漁業、飲食料品製造業、外食業の12分野です。
・在留期間
技能実習制度は最長5年
育成就労制度は基本的に3年で、特定技能1号の水準まで育成することを目指す
・転職(転籍)
技能実習制度では基本的に認められない
育成就労制度では1年以上の就労や試験合格など一定の条件を満たせば可能
・関係機関
技能実習制度では「監理団体」「外国人技能実習機構」
育成就労制度では「監理支援機関」「外国人育成就労機構」
「監理支援機関」については、外部監査人の設置が許可要件となります。
また監理支援機関では、受入れ機関と密接な関係にある役職員をその受入れ機関に対する業務に関わらせることはできません。
「外国人育成就労機構」については、育成就労外国人の転籍支援や、1号特定技能外国人に対する相談援助業務が追加されます。
他にも、試験や評価の仕組みなどが異なります。