厚生年金基金制度の見直し。代行割れ基金は5年以内に解散促す
6月19日に成立、同月26日に交付された「公的年金制度の健全性及び信頼性の確保のための厚生年金保険法等の一部を改正する法律」により、厚生年金基金制度の見直しがおこなわれることになりました。
厚生年金基金は、厚生年金の「代行部分」と独自の「上乗せ部分」をあわせて運用・給付する企業年金の1つです。
厚生年金は、本来は国が運用・給付をおこなうものですが、その一部を基金が代わりにおこなうため「代行部分」と呼ばれています。
近年、運用成績が悪く財政難に陥る基金が増えており、厚生年金本体の財政を脅かすおそれもあるため、基金制度の廃止を見据えた検討がおこなわれてきました。
今回の改正では、代行部分の給付をおこなう資産もない「代行割れ基金」について、施行から5年以内に早期解散を促すことになりました。
また、5年後からは、健全性の基準を満たさない「代行割れ予備軍」について、厚生労働大臣が第三者委員会の意見をきいて解散命令を発動できるとしました。
健全性の基準を満たす基金については存続を認めるとしていますが、付則には「10年以内に(全基金を)解散・移行するよう政府が検討をおこなう」と定めており、将来的な基金制度廃止についての検討は続くようです。
基金を解散するためには、本来は公的資金である代行部分の資産(最低責任準備金)を国に返さなければなりません。
この資産が足りない場合は、基金の母体となっている企業が穴埋めをすることになりますが、母体企業の倒産を防ぐために、納付期限を延長するなどの特例が設けられました。
施行は「公布日より1年を超えない範囲で政令で定める日」となっています。
厚生年金基金制度の見直し
①施行日以後は厚生年金基金の新設は認められない。
②施行日から5年間の時限措置として特例解散制度を見直し、分割納付における事業所間の連帯債務を外すなど、基金の解散時に国に納付する最低責任準備金の納付期限・納付方法の特例を設ける。
③施行日から5年後以降は、代行資産保全の観点から設定した基準を満たさない基金については、厚生労働大臣が第三者委員会の意見を聴いて、解散命令を発動できる。
④上乗せ給付の受給権保全を支援するため、厚生年金基金から他の企業年金等への積立金の移行について特例を設ける。
http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/2r9852000002yp8h-att/2r9852000002ypcu.pdf
http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/2r9852000002yp8h-att/2r9852000002ypd3.pdf